安ギターのナットと言えばプラスチック製が定番。
汎用性、加工性、どれをとっても他に代わるものはありません。
音質的にはマイルド(はっきりしない)で、なんとなく弾く分には申し分ありません。
耐久性は低く(欠け、割れやすい)、プラスチック特有のバリもあり、
弦の滑りも決していいとは言えません ・ ・ ・ 。
素材は何であれ、このプラ製ナットを交換するとギターの印象がガラッと変わるため、
安ギターを手に入れたら、まず最初に手を加える部分ですね。

こんにちは、トーンラボ代表、所長です。
これまでも何本ものギターにてナット交換を試みてきましたが、ナットの規格はどれも同じように見えて
その実、一つとて同じものはあったりしません。
ナットの幅はもちろん、厚み、高さ、溝切の間隔から深さまで、どれも微妙に違います。
リプレイスパーツとして販売されている溝切ナットでも、無加工のままでポン付け出来る個体は極わずか。
ましてや自分の好みに合わせるとなると、もはや自作するほかありません。

フェンダーストラト/テレキャスターギター用、42×3.5×4.5mm (2個)

BLACK TUSQ XLナット PT-5042-00
今回ナット交換を試みるギターは、こちら。

このギター、プラ製のナットは気持ち厚みが厚く作られており、F社用に用意されているナットでは若干ですが溝に隙間ができてしまいます。

安ギターあるある
このようなギターのナット交換は、ブランク材を削り出して製作するしかありません。

今回は、こちらのデルリンで試してみたいと思います。

デフォルトと同じ樹脂系の素材ですが、果たして違いは得られるのでしょうか。


素材はいつもながらECサイトにて入手します。

いつもお世話になっております
デルリンは天然素材と違い、供給は安定しており、品質が均一でバラつきがなく計算の立つ素材です。
サイズは幅42㎜、厚さ5㎜、高さ10㎜。
これをそのまま削り出すには、途方もない時間がかかってしまうので、まずはノコギリで真っ二つにしました。

その後、ヤスリで幅をそろえ溝を切り、高さをそろえていきます。


削ってはセットして、削ってはセットして、
何度も繰り返して弦高を確かめながら整えて行きます。
気の遠くなる地道な作業ですが、仕上げ次第で音質や弾き心地が変わってしまうため、ここは慎重にならざるを得ないポイントです。

どうにかこうにか納得がいくところまで仕上がったので、早速試してみましょう。

牛骨、タスク、ブラスとは明らかに違います。デフォルトのプラ製とも違います。
一気にエイジングが進んだのかと錯覚するくらい、ノスタルジックな音に変わりました。
当たりは柔らかく、ナイロン弦を弾いているかのような感覚。
和音がとてもいい感じです。キラリ

ガラスのような透明感、もりもり元気いっぱいのハリ感、豊かなサスティーンはないけれど、
この独特なアンティークな感じは、病みつきになりそうです。

もはやデルリン一択
ただこの素材、弾力性があって粘りがあるため、バリやささくれが出やすく、滑らかに仕上げるには非常に手間がかかります。
ブランク材から製作するとなると尚更です。汗


ストラト/テレキャスターエレキギター用 42×3.5x6mm
奏でる音楽やプレイスタイルで弾き手の好みは分かれ、
苦労に見合う効果が得られるかどうかは人それぞれですが、
ナット一つで、個性ある1本に仕上がることは間違いありません。
お試しあれ。

追伸
ギターによってはデフォルトのままがあっていることもあり、交換したからと言って、必ずしも思い通りに行くとは限りません。
また交換作業には、それなりに技術と経験と道具と、入念な準備が必要です。
作業中は粉塵を吸い込まないようマスク着用は必須、切削粉(特に金属系)は取扱いや廃棄処分にも適切な対策が必要です。
安ギターと言えども、改造は自己責任の範囲内でお願いします。
ナットの溝切にはこれ
あると便利 目立てヤスリ
万力、ヤスリは必須
