安ギターには数多のメーカー、ブランドが存在しますが、そこで製作されたギターたちは、
たとえ同じブランドであっても、製造された時期や生産ロットによって、微妙に違いがあったりします。
材やパーツ類の他、製造された国のお国柄により生じるクオリティも含めて、
そこにはメーカーの都合や、設計者の意図もあったりするのでしょうか・・・。
今回、紹介しますこのギター、ブギー プロデュース バイ グレコと分類しているギターです。
Tone Lab ライブラリーより
文字通り、グレコが製造したブギーブランドのギターです。
それも2本。キラリ
ぱっと見は、どちらも同じギターですが、細かく見ていくと、あちらこちらに違いがあります。
同じブギーを冠するギターですが、材も違えば、パーツ類も違います。
加工精度にも違いが見れますので、もしかすると用の充足の面でも違いがあったのかもしれません。
以下、わかる範囲で書き出していきたいと思います。
・ネック
黒い個体、紺の個体ともロングスケールですが、ナット幅が違います。
黒が40㎜で紺が42㎜。厚さは紺の個体が若干薄い印象。
ヘッドストックの形も微妙に違います。
ペグはどちらもカバータイプですが、黒い個体の方が若干安定している印象。
黒い個体には、ヘッド裏側にシリアルナンバーの記載あり。
・ボディー
見た目や形状は同じですが、材質が違います。
黒い個体はウッドファイバー製、紺の個体は合板です。
・アッセンブリ
ピックアップ構成、コントロール部は同じですが、使われているパーツは別物です。
ピックアップはいずれもセラミックタイプですが、黒い個体はピックアップのポールピースは
一律52㎜ですが、紺の個体は一律50㎜です。
・ブリッジ
どちらもナローピッチでサドルはダイキャストタイプ。黒い個体はサドルに溝が無く、紺の個体は
サドルに溝があるタイプ。
トレモロブロックは、どちらも鋳造品ですが、黒い個体は厚みがあり、紺の個体は薄いです。
どちらも磁性はありません
・重量
黒い個体が 3.35kg。紺の個体が 3.05kg。
肝心の出音に関しては、それぞれに良さがあり、その違いは個性の範疇かと思います。
もともとは同じコンセプトのもと、製作されたギターなのだと思いますが、
いずれのギターも、本を正せば企業に利益をもたらす商品であることに違いはなく、
需要と供給のバランスで、採算性を考慮した上での仕様変更だったのだと、想像するに難くありません。
同じギターなので、売価も同じだったはず・・
結果的に、どちらのギターが優れているのかどうかは、使う人の主観により変わり、
また経年による熟成によっても評価が変わるので、一概に優劣をつけることは出来ませんが、
たとえエントリーモデルと言えども、開発者の情熱が感じられるギターは、確かに存在し、
そういったモノたちは、年代や仕様にかかわらず、長く使い続けられるに違いありません。
せっかく手に入れたギターですが、これまでの巡り合わせに思いをはせて、
しっかり調整した上で、次の世代に引き継ぎたいと思います。
おしまい。
追伸
ちなみに黒い個体は、以前ブログにて紹介しましたグレコ GPM-1Rと全く同じ仕様です。
ヘッドストックのブランド表記だけが違うようですが、これも何か意図するところがあるのでしょう。