物づくりの現場において、よりよい物を作ろうとした場合、その目指す品質に見合う、厳選した素材が必要不可欠です。
耐久性、加工のしやすさ、重量、質感、見た目など、作り手のお眼鏡にかなう、選りすぐりの材料で。
究極の品質を求めればもとめるほど、そこからあぶれ出る材料の数は計り知れず。
それらの材料も、無駄にする事は無く、SランクからAランク、Bランクと仕分けされ、コストと品質に見合う製品グレードで仕上げられていく・・・。
果たして安ギターとは、Cランク、Dランク、どの当たりの階層なのでしょう。
今回紹介しますギター、K-Garage TRADITIONAL SERIES CUSTOM HAND MADEと分類しているギターです。
Tone Lab ライブラリーより
大手輸入販売店K社の手がけたギターです。
このギター、大手リユースショップにて、長年置き去りにされていたのか、ホコリにまみれた状態でつるされていました。
まあ、見た目はかなり古めかしく、パーツもサビが浮き出し、使用感も濃かったので、
他の安ギターと見比べても、魅力にかけたのでしょう。
弦も切れてたぞ
ただこのギター、ただ古いだけではありません。
今となっては考えにくい、安ギターとしては相応しくない仕様で製作されていたようです。
トラディショナルシリーズと言うだけあって、伝統的なスタイルと見た目が特徴ですが、
それに付け加え、この固体はカスタムハンドメイドです。キラリ
材や工法、作り手も、相応に厳選していると言うことでしょうか。
F社マスタービルドみたいなものか?
ハードウェアやナット、電装部品は、いわゆる安ギター的廉価品ですが、
ボディには2ピースのアルダーが使われています。
最近の安ギターにありがちな、木目を印刷したスクリーンを貼って仕上げた、
見た目だけを模倣したものではありません。
それはそれで凄い技術だが
正真正銘のアルダーです。
コンター部分には、より木目が際立つ正目の材を使用して、つなぎ合わせています。
最近ではアルダーどころか、安ギターの代名詞、バスウッドですらみかけなくなってきましたが、
ひと昔前の現場では、まだ材も潤沢だったのでしょうか。
そーだ
ただこのボディ、コンター部以外の材は節に当たる部分で、
見た目はもとより、重量もスタンダードからはかけ離れ、かなり重めです。汗
これはもしかしたら、見た目と、許容範囲を超えた重量により、B級品と判定され、
下位クラスに仕分けされた材なんではないでしょうか。
そーだ
今となっては、なんとも贅沢な判定基準ですが、
まあそのおかげで安ギターと言えども、ビンテージ的な味わいを経験する事が出来ました。ペコリ
枯れて、干からび、くたびれた音
エレキギターは木材から作られる以上、木材の良し悪しが、ギターの品質を左右します。
1本の木から取れる最高級の素材は、ごく僅かですが、それ以外の部分も端切れ材とて無駄にはしません。
素材を100%活用する事で、1本当たりの売価を落とし、
エントリーモデルはお求めやすい価格になっているのではないでしょうか。
そーだ
安ギターには、安ギターなりの楽しみ方がありますが、
今回のように、思いがけない巡り合わせがあるのも、安ギターならではの楽しみですね。
当たり外れは甚だしい
しかしアルダーは音響特性に優れた材ですね。キラリ
どのピックアップもバランス良く響き、ポジションによる違いが明確です。
やはりストラトは、こうじゃないとね。
おしまい。
追伸
今回紹介しました個体に限らず、古い安ギターの中には、アルダー材が使われている個体もあるようです。
要注目ですね。