日々安ギターを扱っていると、時折とんだ落とし穴に遭遇することもあります。
大量生産、採算重視で製作されるが故、品質管理が至らず、ギターとして成立していない???な個体もまれに見受けられます。
果たして、これからギターを始めようとするKIDSが、こんな個体を手にしてしまったとしたら、
どういう末路をたどるのかは、想像するに難くありません。
安さを追求し、敷居を低くすることで、ギター人口を取り込むことも業界として大切な務めですが、
エントリークラスこそ、基本的な部分に関しては、しっかり管理して製造していただきたいものです。
今回、紹介しますこのギター、Abエントリーモデルと分類しているギターです。
Tone Lab ライブラリーより
この個体、調整段階ですぐに気が付いたのですが、スケール長がちょっとおかしな個体です。
いわゆるロングスケールのギターなんですが、ナットからサドルまでの距離が約6㎜短くなっています。
サドルの調整代も、昔のブリッジにありがちな、ほとんど調整が効かない構造も相まって、
どうにもオクターブ調整が出来ません。
これは恐らく、ボディー側の加工の位置ずれ、が原因ではないかと思います。
ピックアップキャビティもブリッジを納める穴も、全体的にネック寄りに加工されてしまっています。
こうなると、ブリッジ位置だけを矯正した位では、正規のスケール長を確保することが出来ません。
是正するには、ネックを前に出すしかありませんが、
6㎜のずれは、たとえボルトオンネックとはいえ、4点止めのスクリューの内、2本は止めれなくなります。
既存のネックはもとより、つば出し22Fのネックは、全て使用することができません。
24Fのネックを加工するなりしない限り、こちらのボディの命運は決まったも同然です。
それ以外は、とてもよくできた個体なんだが・・
安ギターを何本も扱っていると、加工ミス、設計ミスと思われる個体は、少なくないことに気づかされます。
初心者の方はそれに気づかず、音程がおかしかったり、なんだか弾きにくかったりしても、
ギター自体に問題があるとは思いが至らないのではないでしょうか。
自分の腕前を疑ったり、練習を重ねても改善されないまま、疑問ばかりが膨らんでいくなか、
晴れてエントリーモデルから2本目のギターへ、ステップアップしていけばいいのですが、
ギター自体をやめてしまうことになったとしたら、それこそギター業界としては本末転倒ではないでしょうか。
そーだ
話は戻りますが、私の入手したAbエントリーモデル君、このまま廃棄してしまってもよかったのですが、
せっかくのハイスペック仕様ですし、ここは覚悟を決めて、徹底的にリニューアルしていこうと思います。
安ギターにお金をかけても仕方は無いのですが、かくなるうえは、改造欲求の限りを尽くしてみようと思います。
自己満足も甚だしい
以前大手ECサイトで交換用のネックを見ていた時に、ふと疑問を感じるネックを見かけました。
普通22Fのネックはつば出し仕様になっており、21F仕様のボディにインストールする造りになっているものですが、
それは22Fのロングスケールであるにもかかわらず、つば出しではないネックエンドのネックであり、
このネックを21F仕様のネックポケットに、そのままインストールするとスケール長がその分長くなってしまうわけで、
果たしてどういうギターのために造られたネックなのか、疑問に思ったことがあります・・・。
そうです、このネックなら、このボディーにピッタリではないでしょうか。
これはまさしく、
こんなボディーの為に造られた、
造られれるべくして造られたネックなのではないのでしょうか。キラリ
おいおい
早速、サイトにアクセスし、今でもそのネックがあることを確認して、ポチリ。
届きました。
早っ!
はるばる海を渡り、税関を突破して、私の元へ、予定よりも大分早く届きました。
いつもありがとうございます
製品品質は、値段相応ですが、イメージ通りの品物には満足しています。
スケール長、フレットの間隔、ナットの位置、その他もろもろ確認して、インストールします。
どうでしょう、このたたずまい。
悪くないのではないでしょうか。
ネックありきで他のパーツを選定することとなり、まずは弦高を確認してブリッジを選びます。
座った姿勢、立った姿勢でバランスを見て、ペクを決めます。
この段階で一旦弦を張り、出音を確認してみます。
ネックが変わったことで、出音、弾き心地とも、大分印象が変わりました。
これはもはや、安ギターの印象ではないですよ。
ギターのよし悪しは、ネックの出来で決まると、つくづく実感させられた思いです。
そーだ
こうなってくると悩みの種はピックアップですね。
もともとついていたピックアップは、どれも迫力に欠け、ネック交換後は、全体とのバランスがとれていない印象がします。
逆を言えば、ピックアップを変えれば、ギターとしてのポテンシャルが、かなり上がるのではないかと思えてなりません。ムフフ
使用頻度の高いセンターを交換するか、
以前購入して印象の良かったハムバッカーに交換するか、
はたまた大枚をはたいて、メーカー品に手をだしてみるのも・・・。
ブログ続けられるのか?
ただ、これから先の改造は好みの領域ですので、奏でる音楽のジャンルや、使用用途によっても変わっていきます。
ひとまずここは結論を急がず、熟考を重ね、しばらくは想像の世界を楽みたいと思います♪
おしまい。
追伸
この記事は、私が入手した一個体に関する記述であり、同一ブランドのすべての機種に
当てはまるものではありません。
たとえ安ギターと言えども、ご購入はあくまで自己責任で。ペコリ
※今回使用したネック(Delivery from China)
海外製造の安ネックあるあるですが、ナットの溝切、フレットのすり合わせは必須です。
それに加え、この個体は、トラスロッドを調整するための穴が加工途中なのか、
穴が細すぎて六角レンチが入りません。
六角レンチを挿入するためには、穴を10㎜のドリルで拡張する必要がありました。
どういうこと???
材はローストメイプルとのことですが、ローストの度合いには個体差がありそうです。
独特のにおいがします
総じて、加工ありきで考えれば、価格に見合う良いネックです。(好みは別れますが)
指板は平ら、グリップは極太