こんにちは、中年お父さん兼ギターボーカル兼リペアマン兼トーンラボ代表の所長です。
安ギターと言えば、低価格で手軽にあつかえるところが最大の魅力ですが、
安ギターと言えども、そこには数多のブランドが存在し、ブランドの数だけ個性があり、
同じような造りであっても、どことなく微妙に違いが有ったりします。
以下、私の経験則から安ギターの特徴をまとめてみました。
・ヘッドストック
一昔前だと、フェンダースタイルの一択でしたが、最近のものは差別化を図り、いろいろな形があります。
注目したいのは、ペグの間隔。
ロトマチックペグを採用しているギターは、この間隔がメーカーによってバラバラだったりします。
細かい違いなんですが、間隔を広くっとっているヘッドストックは、当然ヘッドストック自体が長く(大きく)なります。
ナットからのペグまでの距離が長くなり、それゆえに弦のトータルの長さが長くなります。
同じスケールであれば、ナットからサドルまでの距離は同じ長さですが、
サドルからボールエンドまでの長さや、ナットからペグまでの長さが長いと、
弦に伸び代がある分、押弦した際のテンション感が緩く感じます。
微妙な違いですが、慣れてくると好みが分かれてくるポイントです。
・ペグ
今のものはロトマチックタイプが主流ですが、昔はカバータイプのものがほとんどでした。
製作精度にバラツキが多く、そのためトルク感が均一でなく、チューニングが合わせづらい側面があり、
概ね不評です。
そーだ
ただこのタイプ、カバーは薄い板のプレス加工で作られており、とても軽量です。
クルーソンタイプよりも軽量で、それゆえ弦振動の伝達にも大きく影響を及ぼしているのではないかと思われます。
ぶつけると簡単にへこむぞ
カーバタイプ重量 120g
クルーソンタイプ重量 143g
・ナット
ほとんど合成樹脂製です。
メーカーによって材質に違いがあり、あたりの硬いものもあれば、柔らかいものもあります。
底面の加工は、昔のものはラウンドタイプ、最近のはフラットであることが多いです。
こちらのモデルは少し幅を持たせてあり、音も気持ちやわらかめ
・フレット・ネック
フレットは概ね細めです。
フレットのすり合わせや端部処理は、なんとも断言できませんが、
安ギターにありがちなフレットエンドの飛び出しに関しては、処理が甘いのではなく、ネックの木痩せが原因でしょう。
・ピックアップ
セラミックタイプ一択です。作りやすいのでしょうか。
出力に大差はありませんが、ポールピースの間隔には違いがあり、昔のものは、一律52㎜。
最近のものだと、ポジションによって変えています。
フロント48㎜、センター50㎜、リア52㎜といった具合。
至れり尽くせり
・ブリッジ
弦間はナローピッチで、ブロックは磁性がなく薄いものが多いです。
メーカーや製造ロットによっても違いがあります。
・サドル
溝付のブロックタイプが多いです。
ブロックタイプでも形状は色々ですが、最近の傾向として、弦を通す穴は広く、重さは軽いものが
採用されています。
ニュースタンダード!? 新定番!?
・ボディ
色々あります。
合板、集成材、無垢材、どれも個性の内だと思います。
投げ売りされていたエントリーモデルが、綺麗な一枚板だったりすることも・・・。
・塗装
概ね厚塗りです。ぶつけるとバリッと割れます(汗)
個人的にギターの出音を決める最重要要素だと思っています。
安ギターは、木材の音ではなく、塗料の音と言っても過言ではない気がしてなりません。
そーだ
ボディー鳴りに締まりを持たせ、タイトな響きに整えて楽器として成立させている・・・。
白濁したり、変色したりすることも。
色々組み合わせて、自分なりの理想の1本を作ってみるのも面白いかも知れません。
安ギター、それは普及帯のラインナップにだけに許された、
どこかしら前衛的な作り手のこだわりが、あるような、ないような・・・。
おしまい。